冬になると、冷え・疲れ・眠気・やる気の低下・肌の乾燥・むくみなど、さまざまな不調が出やすくなります。
東洋医学では、この季節の養生を 「養陽(ようよう)」 と呼びます。
“陽気=身体を温め、巡らせ、動かすエネルギー” をしっかり守り、育てることが冬の健康の基本とされています。
「黄帝内経」には、
『冬は万物が閉蔵する季節。早く寝て、遅く起き、陽気を失わぬよう守ること』
と説かれています。
つまり、身体のエネルギーを散らさず、しっかり溜め込みながら、春に向けて力を蓄えるための時期なのです。
1. 養陽とは? ― 冬は“陽気を守る季節”
冬は気温が下がり、身体の表面の血流も弱くなりがちです。
東洋医学でいう「陽気」は、身体を温め、免疫や代謝にも関わる大切な働きを担っています。
しかし、寒さに当たりすぎたり、疲労を溜めすぎると、陽気はどんどん消耗してしまいます。
養陽とは、陽気を守り、補い、育てること。
その結果、
- 冷えに強い
- 胃腸が軽い
- 疲れにくい
- 寝つきが良い
- 気力が出る
といった、“冬に負けない身体”がつくられていきます。
2. 養陽の基本① —— とにかく「温める」ことを大事にする
陽気を守るには 冷やさない習慣 が最重要です。
● 首・お腹・足首は必ず温める
この3つは“冷えの三大ポイント”。
マフラー・腹巻き・厚手の靴下で守るだけでも、体調は大きく違います。
● お灸は養陽の王道
東洋医学では、冬の養生にお灸は欠かせない存在。
特に「関元」「中脘」「三陰交」などに熱を入れると、身体の深部が温まりやすくなります。
鍼灸院では体質に合わせた温熱療法で、より効率よく身体を温めることができます。
3. 養陽の基本② —— 冬は“補腎”の季節
「腎」は生命力・体力の源とされ、冬に最も影響を受ける臓です。
黄帝内経でも、『冬は腎を養う』 と明確に記されています。
腎が弱ると、
- 冷え
- むくみ
- 腰・膝の痛み
- 疲れやすさ
- 夜間のトイレ
- 不安感・気力低下
などが出やすくなります。
● 腎を養う食材
黒い色のものは腎を補うとされます。
- 黒豆
- 黒ごま
- ひじき
- きくらげ
- 山芋
- くるみ
- 生姜
- ネギ
こういった食材を日常に取り入れると、冬の養生に役立ちます。
4. 養陽の基本③ —— 睡眠は“陽気の充電時間”
冬は、朝なかなか起きられなかったり、夜に眠くなるのが早かったりします。
これは、自然のリズムに沿って、陽気が休息を求めている証拠です。
- 夜は早めに休む
- 朝は無理に早起きしない
- スマホ・PCを寝る前に控える
- 就寝前にお腹と足を温める
これらはすべて、養陽につながる大切な習慣です。
5. 養陽におすすめの鍼灸施術
鍼灸では、冬に弱まりやすい「腎」「脾」「肺」を整えながら、身体の深部を温めていきます。
● こんな施術が特におすすめ
- お腹の鍼+温灸(脾・腎を補う)
- 腰〜足にかけての温め施術
- 自律神経を整える経絡調整
- 冷え性改善のための全身調整
- 冬の美容鍼(血流の低下によるくすみ改善)
体質に合わせて施術内容が変わるため、「毎年冬がつらい」という方には特におすすめです。
6. まとめ —— 冬は“陽を守り、春に備える”季節
冬にしっかり養生し、陽気を守ることで、春の不調(だるさ・眠気・頭痛・花粉症)も軽減しやすくなります。
冬の過ごし方は、一年の身体づくりの基礎。
気温とともに身体が冷えないよう、丁寧に温めながら過ごしましょう。
鍼灸は、冬に弱りやすい身体をしっかり整える力を持っています。
「今年こそ冬を元気に過ごしたい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
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